上品でありながら自然体のラフさを併せ持つボードの「ちょうど良い木の表情」

introduction

和を基調としながらも、洋風の世界観も感じられるミックステイストが印象的な「神楽坂 茶寮 博多マルイ」様。床材の「グレイン無垢ナラ」を中心に、木の優しさや温もりを感じさせる店内では、寛ぎながらランチやスイーツを楽しめる。設計を担当したCONSCIOUSの江原まゆみ様は、「上品でありながら少しラフな感じに仕上げたかった」と語る。店内はそれぞれにテーマを持った3つのゾーンに分かれており、漆喰壁を意識したデザインの抹茶色の壁面や、開放感を演出する飾り窓とその扉、樹木を中心に配したカウンターなど、空間に深みを持たせるさまざまなデザインが各所に設けられている。共通しているのは、どの場所でも「木の表情」が空間を支えている点にある――。

神楽坂茶寮

白い板材に黒文字で縦書きされた店名ロゴが映える。中の様子を伺えるよう、正方形の格子窓が配されている。

店内は3つのゾーンに分けられている。まず、入り口近くはお客様を迎え入れるゾーン。木陰で時間を過ごせるような樹木を中心に置いたカウンター席など、一人でも気軽に入れる空間にまとめられている。カウンターや什器には、ボードの壁材「ウッドクラフトウォール アンティーク特注色」を使用している。

神楽坂茶寮

グループでゆったりと座って食事を楽しめるゾーン。壁に飾りの窓を設け、開放的かつノスタルジックなイメージを作っている。飾り窓の両サイドの扉は、不燃壁材「ウッドペッカー不燃ウォールアンティーク 特注色」を使用。腰壁には不燃仕様では無い壁材「ウッドクラフトウォール」を用いている。

神楽坂茶寮
神楽坂茶寮

店内の奥にはテラス席のゾーンが広がる。見晴らしの良いビルの5階の窓からは、駅前広場の景色を眺めることができる。白色を多くし、他のゾーンに比べて洋風の印象を強くしている。

神楽坂茶寮

ベンチの座面と背板には床面と同じ商品「グレイン無垢ナラ 特注色」を使用している。ベンチの材料に床材を選んだのは「床材とのコーディネートと強度がちょうど良かったから」と江原様は言う。「普通の板だと反りや割れが心配だったので、すでに商品として加工され、安心して使える材料を選びました」。

神楽坂茶寮

抹茶をイメージして職人が作ったスペシャルペイントの壁面。ライティングや見る角度によって表情が変わり、壁に奥行き感を与えている。お店で提供するお茶の銘柄を印字した茶箱ディスプレイとサインが茶の世界観を表現し、塗り壁の印象と、床材や什器のラスティックなボード製品の表情が良く合う。

江原 まゆみ様

CONSCIOUS 江原 まゆみ http://conscious-em.com/

対応力と提案力、商品の確かさ

今回の案件では、床、壁、扉、什器など、木材のほとんどにボードの製品を用いました。私は空間の統一感を重視したいので、はじめに床材が決まると、床材に合わせた建材や素材を用いて空間を構成するようにしています。床から壁、建具など、空間に存在する内装材の発注メーカーがすべて同じだと、色合わせや艶合わせをまとめて行うことが可能です。ボードの良いところは、商品数が多いだけではなく、細かなオーダーにも対応してくれる点にあると感じます。今回は、床材に手を加えたものをベンチの板材として転用しています。色々なことを担当営業の方と相談しながら進められるのは、設計者として非常にありがたいですね。また、無垢のような印象の突板で、不燃もクリアしている商材を持っているのも強みだと思います。製品の強度がしっかりとしているので、安心して設計に取り入れることができるのも魅力ですね。木材の表情がさっぱりし過ぎず、天然過ぎず、頑張り過ぎず、ちょうど良いトーンにまとまっており、さまざまなシーンで利用できる点も長所の一つだと思います。