1. 主要ページへ移動
  2. メニューへ移動
  3. ページ下へ移動

インテリアデザイナーインタビュー
SLIM+DESIGN 高畠 克則 様

インテリアデザイナーが描く
オリジナル空間を的確に具現化するカスタムオーダー

PROFILE

SLIM+DESIGN(スリムデザイン 代表)

高畠 克則 様

1997年、多摩美術大学を卒業後、設計会社勤務の後2002年独立、2006年よりSLIM+DESIGN.として活動開始。
https://www.slim-design.jp/新しいWindowで開きます

ボード株式会社 インテリア部 部長

嶋田 淳平

1992年、ボード株式会社に入社。以来、インテリア部に20年以上在籍している。

introduction

高畠様がデザインを担当したのは、国内で免税店を展開するLaox(ラオックス)様が新設した、大丸心斎橋店の7階のワンフロアー。ここにはアパレルブランド「ONWARD J BRIDGE」(オンワード・ジェイ・ブリッジ)様が入っている。海外からの旅行者をお客様として迎える空間ということで、デザインのコンセプトは「日本的な美意識」とした。また、家電などを扱う他の階とは異なり、ファッションアイテムの並ぶフロアーにふさわしい雰囲気を作りたいという狙いもあった。さらに、オンワード樫山様のブランドイメージと合致する上質感や洗練された印象の打ち出しも加味して、最終的には和モダンを基調にデザインの細部が詰められた――。
日本的な美意識をモダンに表現するため、床材の表面はすべてナラ材を起用した。
天井や壁の不燃材の色やサイズも特注品。柱を基準に割り付けされており、床のパターンとも連動している。

SECTION 1 模様を忠実に再現する六角形の床材

高畠様

私は商品カタログやサンプル帳を手にしながら、床材を選んでいくという手法はあまり取りません。自分が描いたイメージを実現するのに「適した方法はありませんか?」と、信頼する建材メーカーの担当者と相談して進めることがほとんどです。今回の案件でも、イメージパースや平面図ができた段階で、ボードの嶋田さんに床や壁、天井材に関する打診をしました。

嶋田

オリジナルの空間をデザインしたいというインテリアデザイナーの方は多いと思います。それを実現する上で、当然、既商品だけでは表現しきれないケースも出てきます。そんな時は、セミオーダーで想いに合った商品を模索していくんです。今回のケースでは、一回目の打ち合わせを経て、高畠さんが木の持つ温もりや質感をこのプロジェクトでは重視していることが分かりました。木をふんだんに使いながらも、重々しくない和モダンに仕上げたいという狙いだったので、スギやヒノキではなく、ナラ材を表面に使用した「ワンハーフ・シリーズ」をベースに提案をさせていただきました。

高畠様

今回の床デザインは、大きく4つに分かれます。そのうちの3つはレギュラー品をベースに検討しましたが、1つはまったくないものでした。日本の組み木細工からヒントを得てデザインしたもので、3つのひし形を組み合わせた立体的にも見える模様です。この課題に対して嶋田さんは、「六角形の床板」を作って解決してくれました。

嶋田

普通、床材の接合部分には凸と凹があり、それを交互にはめ込んで貼っていきます。しかし、今回作ったオリジナルの「六角形の床板」は6辺すべてが凹の床材です。凹んだ部分に雇い実を用い現場で施工していきます。

高畠様

この提案サンプルを見たときは「なるほどな」と感心しました。また、木目が流れる方向など、細かなことは指定していなかったのに、私のデザイン意図通りに配置してくれていたのも嬉しかったですね。

嶋田

施工方法が特殊なため、工事にあたっては、弊社と長年付き合いがある信頼のおける施工会社を推薦させてもらいました。近年流行りのヘリンボーン(網代貼り)などに関しても製作や施工は中々難しいものがあります。ですが、これら特殊なものを弊社は以前から数多く扱い得意分野としており、多岐にわたる経験を持つ施工会社とのコネクションも築いています。
床材の表情
SLIM+DESIGN(スリムデザイン 代表)高畠 克則 様

ブランドごとに床材の表情を変えており、そのうちの一つはオリジナルで製作した。

SECTION 2 特注の塗装でイメージを具現化

高畠様

もう一つ感心したのは、塗装の仕上がりです。木の質感をできるだけ無垢でナチュラルな感じに表現したかったので、デザイン上の理想は無塗装でした。しかし、多くの人が利用するフロアーの床材なので、劣化を防ぐために塗装は必要です。すると嶋田さんは、まるで塗装をしていないかのような、サンプルを提供してくれました。

嶋田

完成品に至るまでには、3回ほど高畠さんとやりとりをしましたね。

高畠様

1回目からすごく良い感じでしたけど、もう少し詰めてみようというので数回、サンプルを提出してもらいました。

嶋田

普通に透明の塗料を用いても、本来持つ無垢材の質感は表現できません。ナチュラルに仕上げるというのはなかなか苦労しました。

高畠様

この塗装の色を私はとても気に入りました。塗装済みの床材サンプルを家具製作会社に見せて「この仕上がりで家具を作ってください」とお願いをしたくらいです。ただ、やはり色の再現は難しかったようで、最終的には嶋田さんに色の配合を教えてもらいました。
無塗装色
ボード株式会社 インテリア部 部長 嶋田 淳平

床材に用いた「無塗装色」に合わせて家具も製作された。

SECTION 3 クオリティと短納期を両立する総合力

高畠様

今回の案件で嶋田さんに一番苦労をかけたのは、納期の問題だったでしょうね。初回打ち合わせから商品決定までが約2週間、そこから納品までが約3週間でしたから。

嶋田

お話を伺った時に、高畠様の描くイメージを実現するためのクオリティと納期が成立するもので考えました。今回、提案のベースを「ワンハーフ・シリーズ」で統一したのも、厚みを揃えることができることに加えて、直貼り用なので工期を短くできると判断したからです。数多くの商品ラインナップを背景に、さまざまな要求に素早く対応できる点も弊社の強みの一つだと思います。

高畠様

制約のある中で、限界一杯までこちらの要求に応えてもらえたのはありがたかったですね。嶋田さんは本当に断らないですよね(笑)。

嶋田

デザイナーの方との折衝の中で生まれたセミオーダー品は、時々、そのまま商品化することもあります。また、空間のとらえ方や、木質系以外の商材についての知識など、デザイナーの方と話をしていると勉強になることが多々あります。コミュニケーションの中で生まれる副産物も吸収しながら、メーカーとしての開発力や対応力の向上につなげていかなければいけないと私は考えています。

高畠様

嶋田さんとはもう、20年以上の付き合いになりますね。お互い20代からの関係で、これまでにいろいろな現場でお世話になりました。木に関する知識はさすがで、デザイナーとして知らなければいけない木目や樹種など、私もすごく学ばせてもらっています。これからも、床材や木のことについての相談は、嶋田さんにし続けるだろうなと思っています。

「難しい要求でも受け入れてくれるメーカーさんがいると、デザイナーはとても心強い」(高畠様)
「時間や条件が厳しくても、何とかデザイナー様の想いを叶えたいと思ってしまう」(嶋田)

お問い合わせ

ご不明点やご相談はお問い合わせフォームよりお気軽にご連絡ください。

Webカタログもご用意しておりますので、ぜひご覧ください。

お電話でのお問い合わせ

03-3352-7155

9:00~17:30 ※土日・祝日除く