外壁に木材を使うメリット・デメリットとは?
種類や木目調サイディングとの違いを建材メーカーが解説
近年、温かみや高級感のある天然木の外壁が注目されていますが、「コストやメンテナンス」「防火規制」「サイディングとの違い」に悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、建材メーカーの視点から外壁木材のメリット・デメリットと具体的な対策を分かりやすく解説します。
1. 外壁に木材を使用するメリットと環境への貢献
建築物の意匠性を高める温かみと高級感
コンクリートや金属などの無機質な建材に天然木の外壁を組み合わせる手法は、現代の建築設計において広く取り入れられています。
- 異素材との美しいコントラスト:ガラスや金属製スパンドレルと木質外壁(羽目板)を組み合わせることで、和モダンから洗練された現代建築まで、上質な外観デザインに仕上げられます。
- アクセントによる意匠性の向上: ホテルのエントランスや商業施設のファサードに採用することで、建物のアクセントとなり、施設の高級感を高めます。
外壁木材が注目されている背景
2021年に改正された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行により、木造化推奨の対象が公共建築物から民間建築物へと大きく広がりました。
これは、建物自体を「第二の森林」として機能させ、炭素を長期にわたり固定することで、カーボンニュートラルの実現に貢献するためです。林野庁や国土交通省も、企業に対して木の利用を推進しています。
2. デメリットと対策方法
外壁に天然木を採用するにあたって、事前に理解しておくべき注意点があります。
劣化とメンテナンスの対策
【注意点】屋外の木材には、紫外線・雨水・シロアリへの対策が欠かせません。
屋外の木材は常に厳しい自然環境にさらされています。長く美しく保つためには、まずは「何が劣化を招くのか」を知ることが大切です。
- 紫外線・雨水による変色: 日光や雨の影響で木材の成分が分解されると、シルバーグレーへの変色や、雨染み、黒ずみが発生します。
- 腐朽(ふきゅう): 風通しが悪く湿気が溜まると、木材を腐らせる「木材腐朽菌」が繁殖しやすくなります。
- シロアリの食害: 湿気を含んで柔らかくなった木材は、シロアリの標的となります。放置すると構造体そのものを傷める恐れがあります。
■ 塗り替えメンテナンスの目安
美観と耐久性を維持するには定期的な塗り替えが必要です。塗料の種類により、メンテナンスの時期が異なります。
浸透系塗料: 木材に染み込ませて保護します。塗り替えの目安は約2〜3年です。
造膜系塗料: 表面に塗膜を作って保護します。塗り替えの目安は約4〜5年です。
※現場環境により塗り替えの目安は変動します。
【対策】維持費を抑える高耐久仕様
外壁の塗り替えは足場の設置が必要となることも多く、多額の費用がかかります。そこで当社では、木材自体の耐久性を高めた製品や、高性能な保護塗料により将来のメンテナンス負担を軽減する製品をご用意しております。
耐久性を高める「サーモ処理」
「エクステリアウォールシリーズ」は、高温の水蒸気で加熱処理する「サーモ処理」を施した外壁用木材です。
木材内部の水分や栄養分を減少させることで、薬剤を使わず木材本来の力で防腐・防蟻性を向上させました。
メンテナンスコストを減らす「高耐候ウレタン塗装」
「エクステリアウォール マルチカラー」は、独自の高耐候ウレタン塗装を施した外壁用木材です。
この独自塗装により、紫外線や雨水の侵入を防ぎ、メンテナンス(塗り替え)の間隔を長くすることができます。
初期コストの対策
【注意点】一般的なサイディングと比べ、外壁用木材はコストが高くなる傾向があります。
【対策】 建物全体の壁面をすべて板張りにするのではなく、最も人通りが多く目立つ「1階のファサード」や「バルコニーの壁面」、「玄関ポーチ」などにアクセントとして部分的に取り入れる工夫が効果的です。
防火地域・準防火地域における法的規制と対応策
【注意点】都市中心部の防火地域や準防火地域、建築基準法第22条区域では、外壁の延焼のおそれのある部分において、無垢木材の使用に法的な制限が設けられています。
外壁や軒天に木材を使用する際は、建築基準法における「防火材料(不燃・準不燃など)の制限」と、「外壁や軒裏に求められる防火構造などの規定」の明確な違いを理解しておく必要があります。
■ 「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」の定義
建築基準法では、火災時に燃え広がりにくい材料を、通常の火災による火熱が加えられた際に、加熱開始から規定の性能(燃焼しない、有害な損傷を生じない、有害な煙やガスを発生しない)を維持できる時間に応じて、以下の3つに分類しています。
不燃材料:加熱開始後20分間、要件を満たすもの。
準不燃材料:加熱開始後10分間、要件を満たすもの。
難燃材料:加熱開始後5分間、要件を満たすもの。
■ 建築基準法関係条文(要約抜粋)
第二十二条 / 第二十三条: 防火地域及び準防火地域以外の市街地について指定する区域(法22条区域)内にある建築物は、その外壁で延焼のおそれのある部分の構造を、通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮する「準防火性能」に関して政令で定める技術的基準に適合させ、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
第六十一条: 防火地域又は準防火地域内にある建築物は、その外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に防火設備を設け、かつ、壁、柱、床その他の建築物の部分を通常の火災による周囲への延焼を防止するために必要とされる性能に関して政令で定める技術的基準に適合させ、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。
条文引用元:建築基準法(e-Gov法令検索)
【対策】当社製品「エクステリアウォール不燃軒天」は、国土交通大臣認定の不燃材料です。 ※防火地域などの規制区域では、素材単体ではなく下地を含めた構造全体での大臣認定(防火構造など)を満たす必要があります。計画の際は、必ず各区域の制限に準じた設計仕様をご確認ください。
3. 木目調サイディングとの違い
木目調サイディングの特徴
窯業(ようぎょう)系や金属系のサイディングボードの表面に木目柄を印刷した「木目調サイディング」は、工業製品としての安定した品質、優れたコストパフォーマンス、そしてメンテナンスの手軽さを備えている点が大きなメリットです。一般的な建築物において汎用性の高い建材ですが、印刷による表現のため、天然木と比較すると均一で人工的な質感に見える場合があります。
一方、天然木を使用した外壁には、初期コストや定期的なメンテナンス(再塗装など)の手間はかかりますが、天然木ならではの美しい木目や、深い陰影による立体感を楽しめるという特長があります。
外壁木材と木目調サイディングの比較
4. 外壁木材の種類・樹種
無垢外壁材と不燃木材の違い
外壁や軒天に採用される木材は、製法や建築基準法への適合性によって以下のように分類されます。
一枚の天然木から切り出した板材。長辺に実(さね)加工を施しているため、美しく仕上げることができます。木本来の質感や経年変化を楽しめます。
天然木に不燃薬剤を注入することで、国土交通大臣の不燃認定を取得した木質建材です。建築基準法上の防火規制を受ける区域の軒天などに採用されます。
外壁に採用される代表的な樹種の特徴一覧
■ 国産材
・杉(スギ): 国内で最も広く普及している樹種。軽量で加工性に優れており、施工性が高い点が特長です。
・桧(ヒノキ):優れた耐久性と上品な美しい木肌、特有の芳香を併せ持つ高級材です。
・唐松(カラマツ):針葉樹の中では材質が堅く、耐水性と強度に優れているのが強みです。
■ 輸入材・ハードウッド
・米杉(ウエスタンレッドシダー): 北米産。天然の防腐成分を多く含み、外壁材として広く普及している針葉樹です。
・イペ / セランガンバツ: 非常に高密度で重硬なハードウッドです。
5. 製品ラインナップ
「エクステリアウォール」シリーズは、天然木に特殊な加工を施した外壁・軒天材です。
天然木ならではの豊かな風合いを活かした、2つのシリーズをご紹介いたします。
エクステリアウォールシリーズ
「エクステリアウォールシリーズ」は、室内から屋外へと続く天井に連続して使用できる外壁・軒天材です。
エクステリアウォールシリーズの3つの特徴
01内と外をシームレスにつなぐ
サーモ加工を施したメルボー材と、硬質なセランガンバツの2種類を取り揃えています。室内から屋外へと続く天井に連続して使用することで、空間に広がりと開放感をもたらします。

02多彩なカラーと表面加工
セランガンバツは豊富なカラーバリエーションをご用意しています。「いしがき」「のこめ」などの表面加工にも対応しています。

03特注色にも対応可能
レギュラーカラーに加え、色見本をもとにした特注色にも対応しています。詳しくは弊社営業までお問い合わせください。

商品ラインナップ
MB-11
樹種:メルボー(サーモ加工)
寸法:10×90×ランダムmm
MB-22
樹種:メルボー(サーモ加工)
寸法:15×138×ランダムmm
SB-0
樹種:セランガンバツ
寸法:10×86×ランダムmm
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エクステリアウォール マルチカラー
「エクステリアウォール マルチカラー」は、独自の高耐候塗装を施した、豊富なカラーが特徴の外装材です。
エクステリアウォール マルチカラーの3つの特徴
01「高耐候ウレタン塗装」によるコスト低減
当社独自の高耐候ウレタン塗装により、従来の浸透性塗装に比べてメンテナンス周期を飛躍的に延ばせます。その結果、ランニングコストの削減につながります。

02外観デザインの幅を広げる 7色展開
レッドやグリーンを含む全7色をラインナップ。建物の意匠や用途に合わせて、自由にお選びいただけます。

03特注色にも対応
従来の浸透性塗装では難しかった特注色の調色にも、色見本をもとに対応しています。

商品ラインナップ
樹種:スギ(節あり) / 寸法:15×135×1,970mm
EWMC-01
(クリアー)
EWMC-02
(ミディアム)
EWMC-03
(ホワイト)
EWMC-04
(グレー)
EWMC-05
(レッド)
EWMC-06
(グリーン)
EWMC-07
(ダークブラウン)
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6. よくある質問(FAQ)
Q. 外壁用木材にはどのような樹種や加工のバリエーションがありますか?
外壁に用いられる木材には、国産の杉や桧、高い耐久性を持つ輸入材やハードウッドなどがあります。仕上げ加工には、表面を炭化させて木材を保護する伝統的な「焼杉」や、防火規制に対応するための不燃木材などがあり、建物のコンセプトに合わせてお選びいただけます。
Q. 外壁に天然の木材を採用する主なメリットと注意点を教えてください。
工業製品には出せない、天然木ならではの温かみや高級感を得られる点がメリットです。一方、初期費用が一般的なサイディングに比べて割高になる傾向があることや、外部環境による経年変化(変色)への理解が必要な点には注意が必要です。
Q. サイディングやタイルなどの外壁材と比較して、外壁木材にはどのような違いやメリットがありますか?
外壁材にはそれぞれ特徴があり、建物の用途やご要望に合わせて使い分けます。コストや手軽さでは一般的なサイディングが選ばれることが多いですが、外壁木材は天然木ならではの意匠性と風格を備えているのが大きな特長です。建物の品格や個性を引き立て、周囲の景観とも美しく調和します。
Q. 室内から屋外の軒天にかけて外壁木材を連続して使用する場合、どのような効果がありますか?
室内の天井から屋外の軒天にかけて同じ木材をシームレスにつなげることで、室内と屋外の境界を感じさせず、空間を広く見せ、一体感を持たせることができます。内部・外部それぞれに求められる法規制や環境に適した仕様の建材を選ぶことが重要です。
Q. 外壁木材の施工にかかる全体の費用はどれくらいですか?
外壁用木材は、採用する樹種や表面の加工、不燃性能の有無によって材料費が変わります。また、下地等の現場状況によっても施工費用が変動するため、具体的な費用は施工面積や諸条件により異なります。詳細な金額は施工業者様へご確認ください。
